軽口雑話 第34話 蚊の逃げ足   
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≫ 蚊の逃げ足(第34話)

 シンガポールやこのマレーシアでは毎年デング熱の脅威にさらされています。今もデング熱は要注意です。私の日本人の友人の中にもやられた人がいます。一週間も起きあがれなかったそうです。
 デング熱は蚊が媒体で人間に発症します。デング熱を媒介する蚊は昼間刺す蚊だそうです。夜の蚊は大丈夫なのだそうです。ですから昼間は蚊に刺されないよう注意が必要です。
 随分前、季節は7月から8月に掛けてロシアのハバロフスクに2月ほど滞在した事が有りました。
 人口50万の中型の都市です。ハバロフスクの周りは、近接した都市がないので小さな都市に感じてしまいます。日本の様に人口20万人ほどの都市でも4方に30万人や40万人の都市がくっついていますと、人口が多く感じられます。
 ハバロフスク市のはずれにウスリー川が流れていています。(今、中国側の工場爆発が起き汚染されています。)この川幅はとても広く対岸はかすんで見えません。
 ハバロフスクの夏はこのウスリー川から蚊が大量発生します。川の堤防にそって幾つか大きな公園が有ります。公園を散歩していると腕や脚の露出している部分に蚊が集まって来ます。腕が黒く見えるほど一斉にたかります。頭に来て”ばしん”とやりますが一匹か2匹しか取れません。たかる度に”ばしん!ばしん!”とやっていました。
 現地のロシア人達はどうかというと音を発せず何十匹といっぺんにつぶします。たかっている処を上から軽くなぜるだけで蚊がつぶれてしまいます。公園を歩いていて”ばしん!ばしん!”とやっているのは私だけで、周りのロシア人は変な顔をして見ています。
 実はここの蚊は動きが鈍いので何も突然パシンとやる必要が無いのです。腕の付け根から軽くなぜるだけで殆どの蚊を効率よく殺すことが出来ます。
 日本の蚊はご存じのように静かに近寄ってパシンとやれば飛んでいてもたいてい獲れます。しかしハバロフスクのように腕をなぜただけでは蚊は逃げてしまいます。やってみましたが、手を腕の付け根まで持っていく間に蚊は逃げてしまいます。
 マレーシアの蚊は、人々がゆっくり目なのに反し、ものすごく素早い動きをします。手で”ばしん”とやってもなかなか捕まえられません。捕まえられるのは血をたっぷり吸って動きが鈍くなった時だけです。このときは”ばしん”とやるとべっとり血が付いて悔しい思いをします。そして単に仇を取っただけなのです。
 眠いときにぶーんとくるとたまりません。電気を点けて蚊を追い回しても殆ど無駄な努力です。初めはベープマットがこちらでも売っているので、使って見ましたが、余り効き目がありません。一時的には落ちるのですが、殆ど生き返ってしまいます。ついに虫殺しスプレーを買ってきて、これで撃退しています。スプレー缶は大きく高さ35cmも有ります。これが必需品になってしまいました。ただし蚊に噴霧薬剤が直撃しないと効き目がありません。また蚊が落ちたあとつぶしておかないと、生き返って飛び始めることがあるので事後処理も必要です。雨の後は蚊が多くなりますので、家の中の移動に持って歩くようです。
 こうやって改めて検証してみると、蚊の逃げ足は北へ行くほど遅く、南へ行くほどすばしこくなります。私の思っていたイメージと逆でした。
 それにしてもマレーシアの蚊は逃げ足が早いです。




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