軽口雑話 第40話 | KLズッコケ修理屋1 | ![]() |
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マレーシアの会社のお手伝いをしていて、あちこちから電気関連の修理をたのまれます。いろいろなことに出くわしました。それを少し書いてみようと思います。 プロファイルという研削機械があります。精度を上げるために加工品と研削盤の後ろから光を当てレンズで拡大して投影機に写し、それを見ながら加工の精度を上げて研削する機械です。 あるとき某社の社長さんから電話があって 「突然プロファイルの電球が点かなくなりました。新品に換えてもだめなんで、たぶんどこかの回路が故障しているんだと思います。この機械ばかりは、光が命です。納期も迫っていますし特急でお願いします。すぐに迎えにいきますから...。」 工具を引っ担いで、迎えの車に乗り、クランにある工場に急ぎました。 早速現場に入って見せてもらいました。 こういう場合まずどうしてそうなったか経過を聞かせてもらいます。それによってこれからの作業の進め方を考えます。でもまだ一回もどうしてそういうことになったを聞かせてもらったことがありません。みな異口同音に、 「突然そうなった!」と言います。でも手順として必ず聞きます。 「電球がつかないだけでほかの動作は大丈夫なのですか。」 「はい、ほかは大丈夫です。」 「だめになった経緯を教えてください?」 「いえ突然切れて、新品と換えても電球がつかないんです。」 新品の箱をもってきて見せてくれました。 わたしも別の新品の箱に入った電球を差し替えて見ましたが、電球はつきません。そこで定石どおり電気がきているかどうかテスターで当たっていきました。電球のソケットのところまでは電気がきています。変だなと思いながら新品といわれる電球の導通テストをしてみました。なんと切れています。別の新品の5箱のものも全部切れていました。 何か似たようなケースがあったのを思いだしました。ホリデイビラ(ホテル)にすんでいる時のことです。 ホテルでは照明にタングステン電球を使っています。これが良く切れます。半月に1個ぐらいの割合で切れます。電話をして変えてくれるよう頼むと、2−3日してから電気屋さんが大きな電球がいっぱい入った箱を持って回ってきます。電気屋さんは、箱から電球を出して付け替えました。ところが、変えた電球はつかず、とっかえひっかえ3本目にようやっと切れていない電球に当たりました。そして切れていた電球を元の新品の箱に入れ、「おしまい!(finish!)」といいながら帰ろうとするので、 「切れたやつは捨てた方が良いんじゃない!またわかんなくなっちゃうよ!」余計なことだと思いながら言いました。 「ノープロブレム、ノープロブレム」2回繰り返して行ってしまいました。 「これだ!」経験上感じるのは、マレーの人たちは、みな同じパターンを持っています。電球が切れた時、新品の電球と交換しますが、切れた電球を元の新品の箱に入れそのままにしておきます。5回目に正常な電球が全部なくなったということです。 作業時間は約15分、これじゃどうやってお金を請求するのかな?などと考えながら、社長さんを呼んでもらって話しました。 「全部の電球が切れていました。」社長さんは、 「そんな!!マレー人は全部新品だといっていたのに...。」 「新品なのは箱だけです。」私は、ホリデイビラの電気屋の話をして、言いました。 「切れた電球は必ずその場で捨てさせてください。絶対に元の箱に入れて戻させないように...。また同じことが起きますから...。」 特殊な電球ですからすぐには手に入りません。その日、機械は復旧しませんでした。 後日、社長さんから電話があって、 「”新品”に入れ替えたらもとに戻りました。」というお電話を頂きました。 |