≫ 自然発生的棲み分け、人為的棲み分け!(第5話)
一戸建ての良い住宅はたいてい華人で日本で言えば大豪邸ですが、庭が広く犬が放し飼いになっています。そんな家が2−3軒有ると、周りにはイスラム人は住んで居ません。イスラム教では豚と犬は汚れているものとして嫌われています。ですからイスラム人は犬には決して近づきません。華人が犬を飼うのは泥棒よけにしている部分もありますが、意識的か無意識的か分かりませんが、イスラム人を自分たちのエリアに寄せ付けない効果も狙っているように思います。ところがイスラム人が犬を嫌っているのに野犬の数は非常に多いのです。それは華人が犬を飼うのは泥棒よけ目的が主でペットとしてかわいがっているのではないのです。犬は目的にあったドーベルマン系の犬が多く飼われています。ですから家をコンドミニアムなどに引っ越すと犬はそこへ捨てていってしまうのだそうです。それで野犬が増えたそうです。それも血統書付きの良い犬ばかりです。お役所による野犬狩りは無いそうです。お役所はイスラム人が中心ですから、犬にさわる様な法を作りたくないのだと思います。野犬狩りは、犬を集めるとき、集めた時犬にさわらなければなりません。結局野放しになったままと言うことでしょう。これも日本人から見るとずいぶんアンバランスな矛盾した話の様な気がします。
地図作りの時道路を調べていて、すぐそこに目的の建物があるのに行き着かない事がしばしばありました。初めのうちはどうしてなのか分かりませんでしたが、あちこち歩いているうちに分かってきました。道が各エリアごとに袋小路になっているのです。新しく町を創るとき、周りには原住民やマレー系の貧しい人が住んでいます。その人たちのエリアに建てることになるので、町全体を囲い込んでそれらの人たちが通り抜けられない様に創るのです。簡単なエリア遮断の方法は水路を使います。下水道が地中に無いので、水路を造ってそこに流しているようです。ですから水路は結構異臭を放っています。水路と言っても小さな物ではなく幅は5m以上深さも3m近くあります。川底はロスアンジェルスの川のように真ん中に小さなくぼみをつけ、いつもはそこを汚水がほんの少し流れています。スコールが来ると一時的に水位が1mくらいあがります。この水路がエリア区画の壁の役目をしています。橋を架ければ良いと思うのですが、セキュリティのためあえて橋を架けずにこの水路を利用しているようです。水路が無いところは高い塀を建てて囲い込み、袋小路にしてしまいます。セキュリティを売り物にしている町では入り口に遮断機をもうけ、警備員をおいています。これがすぐ前に建物が見えて行き着けない原因だったのです。私達が初めてホリデイビラに来るとき、地図を見て、コミューターのスバンジャヤより一つ手前のステアジャヤのほうが近いのではないかと思った記憶があります。先日大阪から下見に見えたご夫妻も同じように思いステアジャヤで下りて道に迷われました。ステアジャヤからホリデイビラに向かって近道の方向はマレー系の貧民街を行くことになります。抜けて行ければ良いのですが、水路がじゃまをしてすぐそこに見えているホリデイビラに行き着かないのです。さんざん迷ったあげくステアジャヤ近くのサンウェイショッピングセンターから電話をいただきました。来方を説明し、タクシーに乗って大回りをしてここまでこられました。
マレーシアを歩いていて思うのは、歩く人のことは全く考えていない町ずくりになっていると言うことです。そして不便にする事によってセキュリティの効果を上げています。このくそ暑いのに歩いて出歩くなんて非常識、多少不便だって車で走ればすぐさ、セキュリティーが良い方が優先される!ここは車社会だ!とみんなが思っているのでしょうか。
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